タケウチ マサキ   Takeuchi Masaki
  竹内 雅貴
   所属   川崎医療福祉大学  医療技術学部 臨床検査学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 進化途上で起こった生殖腺ホルモンの別細胞化メカニズム
会議名 2017~2021 年度 文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究 性スペクトラムー連続する表現型としての雌雄 第2回領域会議
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎藤森千加、松田真以子、竹内雅貴、岡良隆、神田真司
発表年月日 2018/10/24
開催地
(都市, 国名)
三浦郡葉山町
概要 生殖機能を調節する生殖腺刺激ホルモン(FSH, 濾胞刺激ホルモンおよびLH, 黄体形成ホルモン)は、雌雄の生殖腺の成熟と配偶子形成に必須の脳下垂体ホルモンである。FSHとLHは、哺乳類を含む四肢動物では脳下垂体の同一細胞で発現するのに対し、真骨魚類では脳下垂体の異なる細胞で発現することが知られている。FSH, LHをコードするfshb, lhb遺伝子は、軟骨魚類分岐前に共通祖先遺伝子glycoprotein β (gpb)が重複して生じたものであることから、進化上でgpb遺伝子の重複直後は、FSH, LHが同一の細胞で産生・放出されていたと予想され、四肢動物で見られる発現様式が原始的な形質であることが強く示唆される。すなわち、真骨魚類は、進化の途上で何らかの原因によってFSH, LHが別々の細胞で発現するようになったと予想されるが、これらの遺伝子の発現が進化のどの段階で、どのようなプロセスで発現様式を変化させたかについては不明である。そこで本研究では、真骨魚類の進化上で重要なイベントである全ゲノム重複によってFSH, LH産生細胞の分化が起こったと仮説を立て、分岐年代の異なる複数種の脳下垂体でのfshb, lhb発現の共局在性について検証した。その結果、fshb, lhb発現細胞の分化は全ゲノム重複とは異なる時期に起こっていることが示唆された。さらにこの発現パターンが変化する進化的タイミングでlhb遺伝子が転座していることを見出した。この結果は、ひとつの特定の転座により、重複遺伝子が新たな調節配列を獲得することで別細胞化が起こるという一般的な仮説を実験的に実証するモデルとして有用と考え、lhbが異なる細胞で発現するようになった原因となる具体的な獲得エンハンサーなどの特定を行っている。