タケウチ マサキ   Takeuchi Masaki
  竹内 雅貴
   所属   川崎医療福祉大学  医療技術学部 臨床検査学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル ポリプテルス;脊椎動物における進化発生学的研究のミッシングリンク
会議名 日本動物学会第88回大会
学会区分 全国規模の学会
招聘 招聘
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎竹内雅貴
発表年月日 2017/09/22
開催地
(都市, 国名)
富山市,日本
概要 ポストゲノム研究とは、通常、主にヒトゲノム解読後にその情報を用いて行われる研究を指す。一方で、ヒトゲノム解読で整備されたインフラと配列決定の技術的な発展は、それまでに確立されていたモデル生物のゲノム解読に応用され、それも一回りした感がある。つまり現在は、いわばポストモデル生物ゲノム時代である。当然、ゲノム解読は一次的には配列情報の解析であり、ポストモデル生物ゲノム研究として現在も活発にモデル生物が活用され、様々な研究が進められている。非モデル生物の研究もこうした動向と無関係ではなく、ゲノム情報にアクセスし易くなっただけでなく、トランスクリプトームの解析など網羅的な遺伝情報を足掛りに研究を進める事が可能になった。こうした動向と前後し、いわゆるモデル生物の位置付けにも変化が感じられる。そもそものモデル生物とは、普遍的な生命現象について解析するために研究利便性から利用されてきた生物である。しかしいつからか、分類群ごとにモデル生物が開発されることで、その生物を内含する分類群を代表するモデル(系統モデル)と捉えられるようになっていった。あるモデル生物での解析結果を見て近縁生物の生命現象を類推し、モデル生物間での相違を分類群の相違と考える事は一般的である。例えば、ゼブラフィッシュとアフリカツメガエルを比較して、その相違から、それらの種としての特殊性を主張する事はナンセンスであり、種としての特殊性を含んでいても、通常は真骨魚類と無尾両生類の特殊性へフォーカスすべきである。このようにモデル生物を系統モデルと捉えることには、「利便性を基準に選ばれた生物は特殊である」といった反論がある。この反論は、より適した分類群を代表する系統モデルが存在する事を念頭に行われるべきであるが、分類群での共通性を最大公約数的にもつような生物が存在するかは疑問であり、存在したとしても膨大な研究の結果としてしか見いだす事は困難であろう。当然ながら、現在の系統モデルはある分類群の一種であり、生物学的にそれ以上の意味を持つ存在ではない。しかしながら、ポストモデル生物ゲノム時代においての研究スタンスとして、個々の現象に注目すれば、必ず、系統モデルはその生物を内含する分類群を代表できる普遍性をもっている筈である。どこまでが普遍的な現象であってどこからが特殊なのか?その普遍性はどこまで系統を溯っているのか?