カシハラ ナオキ
Naoki Kashihara
柏原 直樹 所属 川崎医科大学 医学部 職種 学長付特任教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | バイオイメージング技術利用による腎内微小循環、血管透過性変化の解析 |
会議名 | 日本顕微鏡学会第67回学術講演会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
招聘 | 招聘 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | シンポジウム・ワークショップ パネル(その他) |
発表者・共同発表者 | ◎柏原直樹 |
発表年月日 | 2011/05/18 |
開催地 (都市, 国名) |
福岡 |
学会抄録 | 顕微鏡 46(suppl 1),176 2011 |
概要 | 腎臓病の成因と臨床的帰結は近年大きく変貌している。軽微な腎障害の存在によって
包括的に定義づけられる慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)の成因は糖尿病 、高血圧、肥満、メタボリックシンドロームや加齢であることが示されている。これ らの病態では早期から極少量のアルブミン尿が出現するが、その基盤病態として腎内 微小血管系における血行動態変化と血管内皮機能異常が存在するものと想定されてい る。<BR>CKDの基盤病態理解に必要な新規技術として、1.微小血流可視化解析技術、2 . 内皮機能解析技術、3.組織における酸化ストレス,一酸化窒素(NO)の可視化検出 技術の開発を進めてきた。<BR>2光子励起方式レ-ザ-走査型顕微鏡(two-photon laser 顕微鏡)は励起波長が短く光毒性が低いため、生体臓器の深部まで低侵襲性に長時間 観察可能である。時間・空間分解能が高く、蛍光標識した小分子の生体内挙動が3次 元的に動画で記録可能である。ラット等の小動物の生体腎で腎内微小循環(糸球体・ 間質血流)及び、糸球体での濾過状態、アルブミン等の大分子量物質の漏出を可視化 検出することに成功した。さらに生体臓器の観察に利用可能なCCDカメラを用いて、 腎微小血流の定量的な解析可能な技術を開発した。また共焦点レ-ザ-顕微鏡と蛍光 指示薬(DCFH-DA, DAR-4M)を用いて、腎内微小血管における活性酸素種とNO両者の 実体を同時に直接可視化し検出する方法(in situ 可視化法)を確立した。<BR>これら の技術を用いて、糖尿病、高血圧性腎障害、メタボリックシンドロームモデル動物に おいて、輸出・輸入細動脈径変化、糸球体・間質毛細血管血流変化、大分子量物質の 過剰濾過状態を可視化しえた。同時に腎内血管系における活性酸素種とNO分子の存在 様式を解析しえた。さらにARBやCa拮抗薬等の薬剤の過剰濾過改善、血管内皮機能改 善作用を評価することが可能となった。<BR>これらの研究を介してCKDの基盤病態の 理解を深化させ、治療戦略の立案に資したいと考えている。 |