ナカタ マサオ   Masao Nakata
  中田 昌男
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 呼吸器外科学
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 急性膿胸に対する治療戦略 ~手術療法の成績向上に向けて~
会議名 第33回日本呼吸器外科学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎福間佑菜, 最相晋輔, 野島雄史, 前田愛, 沖田理貴, 清水克彦, 中田昌男
発表年月日 2016/05/12
開催地
(都市, 国名)
京都府京都市
概要 【背景】急性膿胸に対する胸腔鏡下掻爬術の有効性は確立しており,II期(線維素膿性期)以降,胸腔内にフィブリン塊が析出し多房化胸水となる等の保存的治療抵抗例を早期に鑑別して手術を行うことが重要である.しかし,初期治療は近隣市中病院や呼吸器内科で行われることが多く,長期間の保存的治療の後に手術となることも少なくない.【目的】急性膿胸に対する手術困難となる要因を明らかにし,より効果的な治療戦略を構築する.【対象と方法】2011/1-2015/10に手術を施行した発症3ヵ月以内の急性膿胸28例.年齢,性別,PS,基礎疾患,術前治療期間,術前後の抗菌薬治療,術式,術後経過・合併症等について後方視的に検討する. 【結果】男性24例・女性4例,年齢29-82歳(平均63.5歳),PS 0-2/3-4=19例/10例,26例(92.8%)が基礎疾患を有し(Charlson Comorbidity Index 0-7, 平均2.4),12例(42.8%)が院内発症であった.4例は当科紹介時に有瘻化していた.発症~手術までの期間は3-71日(平均22.3日)で,手術は胸腔鏡下掻爬24例,胸腔鏡下掻爬+肺切除3例,開窓術1例,術後合併症を10例(膿胸再燃5例,CD陽性腸炎3例,MRSA肺炎2例等)に認めたが,手術関連死亡はなかった.高齢(≧75歳),PS不良(PS 3-4),院内発症,発症から手術まで14日以上経過,術前3剤以上の抗菌薬使用が術後膿胸再燃および術後合併症のリスク因子であった.【考察】ハイリスク症例では手術を回避すべく保存的治療が長期化した結果,術後に膿胸再燃や長期抗菌薬使用に伴うCD陽性腸炎・耐性菌感染が多くみられた.より効果的な治療戦略構築には呼吸器内科・感染症内科等の他診療科および地域医療機関との連携が重要となる.