ナカタ マサオ   Masao Nakata
  中田 昌男
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 呼吸器外科学
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 小型肺癌(cT1aN0M0)の術前検査においてFDG-PETの果たす役割は?
会議名 第53回日本肺癌学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎最相晋輔, 保田紘一郎, 前田愛, 湯川拓郎, 沖田理貴, 平見有二, 清水克彦, 中田昌男
発表年月日 2012/11/09
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
学会抄録 肺癌 52(5),606 2012
概要 背景:PETは肺癌診療において重要な役割を果たすが、臨床病期IA期(cIA期)の原発性肺癌に対する術前PETについては肺癌診療ガイドラインとACCPガイドラインで異なる見解が示されている。
目的:CTによりcIA期と診断された小型肺癌(腫瘍径2cm以下)に対するPETの意義を明らかにする。
対象・方法:2005/1-2012/3にCTでcT1aN0M0と診断、R0切除された原発性肺癌113例(non-solidな病変は除外)を対象とし、臨床・病理病期や予後をPETの有無でretrospectiveに比較検討する。
結果:PET施行80例(CT・PET群)、PET未施行33例(CT群)で患者背景や臨床学的因子に差はなかったが、CT・PET群にHRCT上GGOを伴わないsolidな病変が多く、組織型では扁平上皮癌が多かった。CT・PET群の臨床病期はIA期67例、IIA期6例、IIIA期7例で、13例(16.3%)がPETによりLN転移が疑われIIAまたはIIIA期と診断されたが、手術適応外と判断される症例はなかった。病理病期はCT・PET群がIA期69例、IB期7例、IIA期1例、IIIA期3例、CT群がIA期26例、IB期3例、IIIA期3例、IV期1例で、術前病期診断の正診率(CT・PET群64例(80.0%) vs. CT群26例(78.8%),p=0.245)やcIA期症例の予後(3年無再発生存率;CT・PET群80.6% vs. CT群71.9%,p=0.607)は両群間で有意差はなかった。また、CT・PET群の4例(5.0%)でPETにより他臓器悪性腫瘍が(甲状腺癌2例、大腸MALT1例、腎細胞癌1例)が指摘された。
考察:CTでcT1aN0M0と診断された症例ではPETの有無で正診率や予後に差はなく、術前全例にPETを施行する意義や有用性は示されなかった。一方、CTでは指摘困難であったがPETで指摘可能なLN転移や他臓器重複癌もあり、費用対効果分析も含めたより詳細な検討が必要である。