ヤマムラ マサヒロ   Masahiro Yamamura
  山村 真弘
   所属   川崎医科大学  医学部
   職種   学長付講師
言語種別 日本語
発表タイトル スニチニブ耐性GISTに対する外科的切除例の検討
会議名 第50回日本癌治療学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎山村 真弘, 平井 敏弘, 廣田 誠一, 弘中 克治, 岡脇 誠, 山口 佳之
発表年月日 2012/10/26
開催地
(都市, 国名)
横浜
学会抄録 日本癌治療学会学誌 47(3),2186 2012
概要 背景:近年、スニチニブ局所耐性病変に対する切除や治療効果が得られ切除可能となる症例が散見されるようになったが、スニチニブ耐性病変に対する外科的切除の有効性は明らかになっていない。スニチニブ耐性GISTに対する外科的切除の意義について検討する。
対象:当院でのスニチニブ治療GIST6例中、外科的切除を行った3例。
結果:年齢53~65歳(中央値60.3歳)、男女比2:1、原発臓器は胃2例、小腸1例。リスク分類ではすべてhigh risk、遺伝子変異はKIT遺伝子exon8変異が1例、exon11変異が1例、PDGFRA遺伝子exon12変異が1例だった。転移再発部位は、肝+腹膜+肺が1例、肝+腹膜が1例、骨が1例。初回再発時(イマチニブ投与前)の切除が2例、イマチニブ局所耐性後切除が1例。イマチニブのPFSは22~53ヵ月(中央値33ヵ月)で、全例でPR。スニチニブ導入理由は、全例イマチニブ耐性病変の出現で、腹膜が2例、骨が1例。スニチニブのPFSは、3~16ヵ月(中央値9.3ヵ月)であり、効果はPR1例、SD1例、PD1例。KIT遺伝子exon8変異の骨転移例が最も効果が高かった。スニチニブ耐性病変の外科的切除は、全例局所耐性病変に行われ、切除組織ではスニチニブ耐性変異を認めている。
生存期間は、85~145ヵ月(中央値115ヵ月)で、スニチニブ単独治療例より長かった。
外科的切除を行った3例は、その後いずれもスニチニブの有害事象や忍容性、全身耐性のため、イマチニブの再投与を行っている。
考察:スニチニブ耐性GISTに対する外科的切除は、スニチニブ局所耐性病変に行われており、スニチニブの効果が期待できる初発GISTのKIT遺伝子exon8(9)変異や野生型においては更なる予後延長が期待できると考えられた。スニチニブ治療は、イマチニブ耐性GISTに行われるが、スニチニブ導入から治療効果が得られる症例なのか、経過中に外科的介入が可能なのかを判断することが必要である。また、スニチニブ耐性病変の切除後、スニチニブの有害事象や忍容性により、中断せざるを得ない例を経験している。スニチニブ耐性病変の切除では、術後も可能な限りスニチニブを継続投与する必要があり、有害事象やPS低下のためにスニチニブ継続投与が困難にならないように考慮することも重要であると考えられた。