オカワキ マコト   Makoto Okawaki
  岡脇 誠
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 先端腫瘍医学
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 通院治療センターで発生した血管外漏出の要因分析と今後の課題
会議名 第50回日本癌治療学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎笹本奈美, 槇枝大貴, 丸元直美, 佐田結花, 内堀利恵, 西村瑞穂, 弘中克治, 岡脇誠, 山村 真弘, 山口佳之
発表年月日 2012/10/25
開催地
(都市, 国名)
横浜
学会抄録 日本癌治療学会誌 47(3),2044 2012
概要 【目的】通院治療センターで発生した血管外漏出に関するリスク因子を分析し、今後の血管外漏出防止のための対策を検討する。
【方法】2007年1月から2011年12月までの5年間に発生した血管外漏出について、年間件数、発生頻度、リスク因子を抽出し血管外漏出が起こる要因を調査した。
【結果】治療総件数は29,967件(2007年3,992件、2008年5,178件、2009年6,482件、2010年6,896件、2011年7,419件)で、血管外漏出は15件(0.05%)であった。年間件数は2007年3件(0.08%)、2008年3件(0.06%)、2009年3件(0.05%)、2010年3件(0.04%)、2011年3件(0.04%)で、投与経路は末梢静脈投与13件、埋め込み型ポート投与2件であった。疾患別では乳がんが6件と最も多かった。漏出薬剤はパクリタキセルが7件と最も多く、次いでピラルビシン4件、シクロホスファミド2件、ダカルバジン、イリノテカン各1件で、約半数の7人が75歳以上の後期高齢者であった。穿刺部位は前腕部が11件で、関節可動域を避けて穿刺していたが、5件でトイレへの移動や食事摂取等、動作による漏出を認めた。発生時期は、投与直後の症例は1件で、その他は投与開始15~30分以上経過後であった。糖尿病、膠原病の合併や、肥満との関連はなかった。全症例で後遺症は認めなかった。
【考察】通院治療センターでは、治療件数は年々増加しているが、血管外漏出発生率は年々減少している。リスク因子は高齢、動作による漏出、乳がん、パクリタキセルの投与が考えられた。当施設では、血管外漏出発生後にセンタースタッフ全員で情報を共有し、再発防止策を検討している。また、2011年4月から薬剤投与前の血管穿刺の状況について看護師間のダブルチェックを徹底し、必要に応じて再度穿刺をおこない、血管外漏出の防止に努めている。特に、高齢者、乳がん患者については、治療開始後、定期的な穿刺部位の観察をおこなっている。 乳がん患者の多くが、前治療で血管刺激性の高いアンスラサイクリン系薬剤の使用により、健側の使用血管が制限されることがあるため、穿刺の際の血管選択を慎重に行っている。現時点では、血管外漏出をいかに予防するかが重要である。今後の課題として、がん患者が安全に外来化学療法を受けられるよう、医療スタッフ全員が血管外漏出のリスク因子、抗がん剤の組織侵襲度、漏出時の組織皮膚変化などを理解し、更なるアセスメント能力の向上と早期対処ができるように努めたい。