ヤマネ ヒロミチ   Hiromichi Yamane
  山根 弘路
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 総合内科学4
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル EGFR-TKI による治療関連急性前骨髄球性白血病を併発した肺癌症例
会議名 第62回日本肺癌学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎武田 考平, 越智 宣昭, 宇治 恵美子, 小坂 陽子, 河原 辰由樹, 田岡 征高, 長崎 泰有, 中川 望, 山根 弘路, 瀧川 奈義夫
発表年月日 2021/11/27
開催地
(都市, 国名)
横浜市(WEB)
学会抄録 肺癌 61(6),750 2021
概要 【症例】76 歳女性非喫煙者【既往歴】高血圧症【現病歴】20XX 年6 月,白内障手術の際に胸部X 線写真にて右上肺野の結節影を指摘された.CT にて右S3に30 mm 大の結節影を認め,肺腺癌(T1cN2M1b,stage IVB,EGFR 遺伝子変異L858R 陽性)と診断され,当院を紹介された.同年9 月より初回治療としてafatinib 40 mg/日を開始した.皮膚障害で休薬や減量を行ったものの,奏効が得られ治療を継続していた.2 年3 ヶ月後,緩徐に白血球数と血小板数の減少を認めた.薬剤性の血球減少を疑いいくつかの内服薬を休止したが,さらに血球減少が顕著となったため最終的にafatinib も休薬した.その後も汎血球減少が持続したため骨髄穿刺を行ったところ,骨髄塗抹標本にて前骨髄球を65.8% 認め,急性前骨髄球性白血病(APL)を疑った.FISH では31% の細胞で融合シグナルを認め,t(15;17)(q22;q21)を有するAPL と診断した.ATRA 療法を開始し,第7 病日には白血球数の上昇を認めた.第31 病日の骨髄検査では前骨髄球は0.6% と減少しており,経過良好のため第41 病日に退院となった.現在,EGFR-TKI 中止による肺癌の増悪が認められ,救済化学療法の導入タイミングを検討中である.【考察】治療関連APL(therapy-relatedAPL;t-APL)は殺細胞性抗がん薬や放射線によるDNA 障害によるゲノム不安定性などが一因とされている.これまで肺癌治療においてEGFR-TKI 投与中に発症したt-APL の報告は稀である.さらに本症例のごとく過去に化学療法や放射線治療の既往が無く,EGFR-TKI による初回治療中に生じたt-APL は,我々が検索した限りでは報告は認められなかった.EGFR-TKI による治療とt-APL 発症の関連について文献的考察を交えて報告する.