オチ ノブアキ   Nobuaki Ochi
  越智 宣昭
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 総合内科学4
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 7年間の治療経過中に転移巣が高度の石灰化を示した原発性肺腺癌
会議名 第50回日本呼吸器学会中国・四国地方会
主催者 服部 登
学会区分 地方会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎田村卓也, 越智宣昭, 山根弘路, 山岸智子, 瀧川奈義夫
発表年月日 2013/12/07
開催地
(都市, 国名)
広島市
学会抄録 第50回日本呼吸器学会中国・四国地方会プログラム・抄録集 53
概要 症例は66歳女性。2006年に左S8原発の肺腺癌(T1N0M1, stage IV)、多発骨転移と
診断され、カルボプラチン+ドセタキセルにて初回治療を行った。EGFR遺伝子変異
陽性(L858R)であったため、2008年10月からエルロチニブによる治療を行い奏効し
た。2009年10月、左第5肋骨転移が増悪したため化学療法を施行した。2011年1月、
腫瘍増大とともに疼痛が増強したため、同部に対し放射線照射(30Gy)を施行し
た。2011年7月のCTでは左第5肋骨病変は若干縮小し、腫瘍内部に石灰化が認められ
た。2012年1月、第5胸椎から右胸膜へかけての軟部陰影が増大(長径43 mm)し、そ
れとともに左第5肋骨転移巣(長径66 mm)の石灰化内部の軟部陰影も増大した。左
右の病変ともにCTガイド下生検を施行した結果、いずれも初診時の肺腺癌組織と合
致し、また、EGFR遺伝子変異はL858Rと耐性変異(T790M)を認めた。2012年5月より
シスプラチン+ドセタキセルを施行後、ドセタキセル+ベバシズマブで治療を継続
している。CTでは、転移巣の大きさは不変であるが、腫瘍内部に再び高度の石灰化
が認められた。また、シスプラチン+ドセタキセル治療前の血清CEA値は6120 ng/mL
と高値であったが、正常範囲となった。2013年4月のPET-CTでは、どちらの転移巣に
もFDGの集積は認められなかった。
 肺腺癌の原発巣に石灰化を認める症例は約10%とされるが、治療効果に伴い転移部
位の石灰化陰影と軟部陰影が変化することは極めて稀である。長期間にわたり病勢
制御が可能であったため、画像上それらの経過を追えた興味ある症例と考え報告する。