オノ シゲキ   Shigeki Ono
  小野 成紀
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 脳神経外科学2
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 遠位塞栓予防フィルター使用下ステント留置術の初期経験 −特にno flow へ
の対策について−
会議名 第34回日本脳卒中学会総会・第38回日本脳卒中の外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者平松匡文, 杉生憲志, 徳永浩司, 西田あゆみ, 菱川朋人, 小野成紀, 伊達勲
発表年月日 2009/03/22
開催地
(都市, 国名)
松江
概要 【目的】遠位塞栓予防フィルター使用下ステント留置術(CAS) の初期経験を、特にno flow への
対策を中心に報告する。【対象と方法】当科で07 年11 月から08 年10 月までに施行した65 例
のCAS を分析検討した。【結果】男性60 例、女性5、年齢は56 - 83(平均73)歳、狭窄率は
60-99(平均83)%であった。No flow となったものは5 例で、3 例では多量のdebris を回収したが、
残る2 例ではdebris は少量でむしろフィルター挿入によるICA のkink による影響が疑われた。
Slow flow となったもの12 例で、6 例でフィルター内に少量のdebris を回収し、残る6 例では
spasm やkink がその原因と考えられた。フィルター展開時間はNo flow にならなかった例で
7-12(平均8.4)分、no flow の5 例では、回収吸引操作を加えたため9-13(平均10.7)分であった。
術直後に神経症状を呈した例は6 例で、その原因はno flow3 例、slow flow3 例であった。この
うち5 例は24 時間以内に神経症状が回復したが、1 例はMRI にて新たに小梗塞が出現し、片
麻痺が悪化した。本例を経験後は、1) 術直前エダラボン投与、2) 対側閉塞やcollateral flow が
poor と考えられる例ではプロポフォール静脈麻酔併用による脳保護、3) 細径前拡張バルーンの
選択、4) 循環器専門医による適切な血圧管理などを心がけている。さらにエコー・MRI により
不安定プラークの同定に努めている。【結語】フィルターの最大の特徴は血流を維持しながら、
debris のみを捕捉可能なことであるが、多量のdebris や血管のspasm・kink により不意の閉塞
を来す可能性がある。術前にプラーク量・性状や血管走行を把握し、虚血不耐性が予測される
例には十分な脳保護を行うとともに、閉塞した場合には短時間に手技を終わらせることが肝要
である。