ヤマウチ アキラ   Akira Yamauchi
  山内 明
   所属   川崎医科大学  医学部 基礎医学 生化学
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 高尿酸状態の免疫細胞機能への影響
~尿酸に善玉作用はあるのか~
会議名 第53回日本痛風・尿酸核酸学会
主催者 日本痛風・尿酸核酸学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者山内明、岡本秀一郎、宮野佳、板谷益美、川井千景、栗林太
発表年月日 2020/02/14
開催地
(都市, 国名)
北九州市
概要 血液中の尿酸値は痛風の発症と密接に関わっており、高尿酸血症により尿酸結晶の生成さらに痛風発作に至ると考えられている。その一方で、尿酸の生理的役割として抗酸化作用が指摘されており、尿酸に善玉的側面もあることが注目されている。ヒトのエネルギー代謝に酸化作用は必須だが、過剰な酸化作用がさまざまな疾患を引き起こすことが知られており、自己免疫疾患や癌も含まれる。これらの疾患で尿酸が抗酸化作用によって免疫機能へどのような影響を与えているかは不明である。本研究では高尿酸状態の免疫細胞機能への影響を評価することを目的に、特に細胞動態に対する作用を検討した。
ヒトTリンパ種由来細胞株Jurkat細胞を用いて、正常尿酸濃度、高尿酸濃度(尿酸結晶無し)、および高尿酸濃度(尿酸結晶り)で培養後、ケモカインSDF-1αに対する細胞走化性をin vitro細胞動態解析装置TAXIScanを用いて解析した。また、その作用機序として尿酸のインフラマソーム関連分子への影響について、遺伝子発現を定量RT-PCRにて評価した。
高尿酸濃度(尿酸結晶有り)の培地で培養した細胞では、コントロール(尿酸を加えなかった細胞)よりもSDF-1αへの走化性が亢進していた一方、高尿酸濃度(尿酸結晶無し)の培地では、Jurkat細胞のSDF-1αへの走化性が抑制されていた。さらに、尿酸結晶有りの培養条件でインフラマソーム関連分子の遺伝子発現を比較したところ、NLRP2, NLRP12, およびCASP1の発現が増加していた。これらの結果より、高尿酸状態かつ尿酸結晶無しの状態は免疫細胞の機能(少なくとも走化性)については機能抑制的に働き、尿酸結晶が生成されると走化性が活性化し、インフラマソーム関連分子が増加することが示唆される。今後さらに検討を重ねて、尿酸の免疫抑制、および尿酸結晶による免疫活性化の機序の一端を明らかにしていきたい。