ヤマネ ヒロミチ   Hiromichi Yamane
  山根 弘路
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 総合内科学4
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与後に筋無力症を生じた肺がん症例
会議名 第62回日本肺癌学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎河原 辰由樹, 越智 宣昭, 長崎 泰有, 中川 望, 田岡 征高, 黒川 勝己, 山根 弘路, 瀧川 奈義夫
発表年月日 2021/11/26
開催地
(都市, 国名)
横浜市(WEB)
学会抄録 肺癌 61(6),702 2021
概要 【症例】66 歳,男性【現病歴】背部痛のため前医を受診し,CTで右肺門部腫瘤,胸水貯留,肝腫瘤,および腹腔内リンパ節腫脹を認め,当院を紹介された.胸水セルブロックで腺癌の所見であったため,シスプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブで治療を開始したが,その後肝生検で小細胞癌と判明した.1 サイクルで効果を認めていたが,カルボプラチン+エトポシドに変更した.抗腫瘍効果は持続していたが,3 サイクル施行後に急速に嚥下障害,筋力低下,および眼瞼下垂が出現した.誘発筋電図を施行したところ3Hz 反復刺激試験でWarning 現象を認め,抗
アセチルコリン受容体抗体が陽性であり,重症筋無力症(MG)と診断した.また,抗P/Q 型VGCC 抗体も陽性であり,Lambert-Eaton 筋無力症候群(LEMS)の鑑別も必要であった.抗コリンエステラーゼ薬,免疫グロブリン療法,および血漿交換療法を施行したが,明らかな改善は認められなかった.【考察】小細胞肺癌に合併する傍腫瘍性神経症候群の中でLEMS の頻度は高く,抗腫瘍効果とともに改善しやすい.また,ICI による神経系の免疫関連有害事象の中でMG は高齢者で発症しやすく,致死率も高いと報告されている.本症例は,抗P/Q 型VGCC 抗体が陽性であったことから潜在的にLEMS があり,ICI 投与後にMG が生じたものと推察している.進展型小細胞肺癌の化学療法にICI併用が標準治療となり,腫瘍随伴症候群と有害事象による筋無力症の鑑別には注意が必要であると考えられた.