タケウチ マサキ
Takeuchi Masaki
竹内 雅貴 所属 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床検査学科 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 体細胞の分化多能性獲得と、個体発生システムの関係性 |
会議名 | 川崎医療福祉学会 第46回研究集会 |
招聘 | 招聘 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 特別講演・招待講演など |
発表者・共同発表者 | ◎竹内雅貴 |
発表年月日 | 2014/06/11 |
開催地 (都市, 国名) |
岡山県 倉敷市 |
概要 | 山中氏らによるiPS細胞の樹立成功は、ノーベル生理学・医学賞授賞により大きな注目を集めただけでなく、再生医療や創薬においてのヒトiPS細胞活用が大きく期待されている。当然、社会的な重要性は実際の医療にどう役立つかという点にあるが、たった3~4つの遺伝子導入によって体細胞を初期化できるという事実が示す本来の科学的意義は、私の専門分野であり歴史ある発生生物学の分野にとって非常に大きい。
私の興味は、脊椎動物における個体発生システムとその多様性がどのように獲得されてきたのか、その生物進化の歴史にある。このような観点から見ると、胚性幹細胞やiPS細胞のように高度な分化多能性をもつ幹細胞は、哺乳類においてのみ作成可能なのではないかと予想できる。なぜなら、胚性幹細胞は哺乳類初期胚の内部細胞塊(inner cell mass, ICM)から樹立されるが、他の脊椎動物はICM様の細胞を個体発生課程で形成しないからである。iPS細胞の樹立も、端的に言えば胚性幹細胞やICMにおける未分化性維持システムを再現する事である。さらに、哺乳類初期胚は古典的に表現するならば非常に調節性の高い“調節卵”であり、これに対し、他の脊椎動物は“モザイク卵”である。つまり哺乳類胚は分化の方向・運命決定の時期が非常に遅く、未分化性を維持したまま発生するという特徴をもつと考える事ができる。このような哺乳類胚で見られる特殊性と、胚体外組織(ICM以外から生じる羊膜や胎盤)の起源について、研究成果を報告する。 |