ヤマウチ アキラ   Akira Yamauchi
  山内 明
   所属   川崎医科大学  医学部 基礎医学 生化学
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル COVID-19で重要なウィルスRBDとヒトACE2の結合阻害を示す香料および香料組成物の探索
会議名 第44回日本分子生物学会年会
主催者 日本分子生物学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者山内明、西村泰光、野見山謙太、森原亜弥、亀崎彩紗、五十嵐美香、依藤祐介、佐藤雪乃、栗林太
発表年月日 2021/12/02
開催地
(都市, 国名)
横浜
概要 新型コロナウィルス感染症COVID-19の感染初期にはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とその受容体であるヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)2の結合が重要である。ヒトACE2を発現する組織は多く存在し、特に口腔粘膜上皮、腸管上皮、肺胞上皮細胞などで強く発現している。一方、我々は香料および香料組成物の生体での機能を解析してきた。今回、香料および香料組成物の中にRBDとACE2の結合を抑制するものが存在するのではないかと考え、この2つのたんぱく質の結合を阻害する物資をスクリーニングした。その結果、RBD-ACE2の結合を阻害する香料および香料組成物を複数見出した。このうち2-hydroxybenzaldehyde、Cinnamaldehyde、β-Phenylethyl alcoholは0.5%(v/v)で、従来型RBD-ACE2の結合を70%以上阻害した。また、変異型RBD (L452R、E484K、N501YおよびN417N+E484K+N501Y)に対しても同様に阻害効果があり、上記に加えHelional、dihydroactinidiolide、Methyl anthranilateなども高い阻害効果があることが分かった。
香料は、食品に添加されるほか、石鹸などの日用品においても0.3~1%、フレグランスにおいては10%以上の濃度で使用されており、上記のRBD-ACE2結合阻害活性のある香料組成物は食品、日用品、フレグランス等へ応用できる可能性がある。また、香料が直接作用する呼吸器系あるいは消化器系の粘膜は感染経路としても重要であり、吸入剤や食品への添加はCOVIS-19の感染、発症および重症化の予防策として理想的な投与方法と言える。今後、見出した香料組成物について細胞レベルおよび個体レベルでのRBD-ACE2の結合阻害および感染阻害を確認していきたい。