ヤマウチ アキラ   Akira Yamauchi
  山内 明
   所属   川崎医科大学  医学部 基礎医学 生化学
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメインとヒトアンギオテンシン変換酵素2の結合は香料および香料組成物で阻害される
会議名 第94回日本生化学会大会
主催者 日本生化学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者山内明、西村泰光、野見山謙太、森原亜弥、亀崎彩紗、五十嵐美香、依藤祐介、佐藤雪乃、栗林太
発表年月日 2021/11/05
開催地
(都市, 国名)
オンライン
概要 新型コロナウィルス感染症COVID-19はウィルス粒子が変異を繰り返すことにより世界中で感染が拡大している。感染抑止となるワクチン接種は進められているものの、接種率の向上がカギとなり集団免疫の獲得には時間がかかっている。また、世界的に見てワクチンの供給には偏りもみられており入手困難な地域も存在する。さらに、アナフィラキシー等の副反応や様々な理由により接種が不適応の者も存在しており、ワクチン以外の防御方法の拡充が課題となっている。
我々は、これまで香料および香料組成物が生体に対して様々な効果があることを見出ししてきた。今回、香料の中に抗ウィルス効果のあるものが存在するのではないかと考え、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とその受容体であるヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)2の結合を阻害する物資をスクリーニングした。その結果、RBD-ACE2の結合を阻害する香料および香料組成物を複数見出した。このうち2-hydroxybenzaldehyde、Cinnamaldehyde、β-Phenylethyl alcoholは0.5%(v/v)で、従来型RBD-ACE2の結合を70%以上阻害した。また、変異型RBD (L452R、E484K、N501YおよびN417N+E484K+N501Y)に対しても同様に阻害効果があり、上記に加えHelional、dihydroactinidiolide、Methyl anthranilateなども高い阻害効果があることが分かった。
香料は、フレグランスとしては10%以上、石鹸などの日用品においても0.3~1%の濃度で使用されており、これらの香料組成物はフレグランス、日用品、食品等へ応用できる可能性がある。また、香料が直接作用する呼吸器系あるいは消化器系の粘膜は感染経路としても重要であり、吸入や食品への添加は理想的な投与方法と言える。今後、細胞レベルおよび個体レベルでのRBD-ACE2の結合阻害および感染阻害を確認していきたい。