モウリ サトシ
Satoshi Mohri
毛利 聡 所属 川崎医科大学 医学部 基礎医学 生理学1 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | T管膜構造維持におけるNa+/Ca2+交換体の役割 |
会議名 | 第65回日本生理学会中国四国地方会 |
学会区分 | 地方会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎氏原嘉洋, 岩崎慶一朗, 高津理美, 西辻光希, 橋本謙, 成瀬恵治, 毛利聡, 片野坂友紀 |
発表年月日 | 2013/11/02 |
開催地 (都市, 国名) |
倉敷市 |
概要 | 心筋細胞のT管膜は、筋収縮に利用するための効率的な筋小胞体からのCa2+リリースを可能とするための特殊構造であり、電位依存性Ca2+チャネル(LTCC)やNa+/Ca2+交換体(NCX1)が集積している。重篤な不全心筋細胞では、T管膜構造が部分的に崩壊するために、筋小胞体からのCa2+リリースの単一細胞内での同調性が失われることが知られている。これは、収縮力低下の原因となることが知られているが、現在までにT管膜構造の崩壊がどのようなメカニズムで生じるかについては不明である。我々は、T管膜構造の維持機構を明らかにするために、マウスの大動脈を結紮して心不全を誘導し、心機能、T管膜構造、興奮収縮連関効率および細胞内Ca2+ハンドリング能を16週間にわたって経時的に測定した。この過程で、不全心筋では、T管膜構造崩壊を招く前段階でNCX1活性が極端に低下するフェーズがあることを発見した。我々は、これまでに、薬物投与により心筋細胞特異的にT管膜分子であるNCX1の発現を亢進することが可能なトランスジェニックマウスを作製している。このマウスの大動脈を結紮して心不全を誘導した後に、NCX1活性低下を回避するようにNCX1分子の発現を亢進させることによって、NCX1活性を常に正常マウスレベルで維持する操作を施したところ、T管膜構造を長期にわたって維持することができた。このマウスの心筋細胞の構造と機能は一定レベルに維持されたままで、重篤な心不全への進行は見られなかった。以上の結果は、NCX1活性はT管膜構造の維持に必須であること、心不全病態では低下したNCX1活性の改善が有効に働くことを示している。 |