スギヤマ ヒトシ
  杉山 斉
   所属   川崎医療短期大学  教育部 医療介護福祉学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル SLE・抗リン脂質抗体症候群の病態 わが国の膜性ループス腎炎の腎予後 増殖性腎炎との比較
会議名 第69回日本リウマチ学会総会・学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者池内 秀和, 今井 陽一, 丸山 彰一, 杉山 斉, 横山 仁, 廣村 桂樹
発表年月日 2025/04/24
開催地
(都市, 国名)
福岡, 日本
学会抄録 日本リウマチ学会総会・学術集会プログラム・抄録集 69回,573 2025
概要 【背景】膜性ループス腎炎(MLN)は、ループス腎炎(LN)の中でも比較的予後が良好とされるが、その臨床的特徴や長期予後に関するデータは限られている。本研究では、先行報告したLNの全国調査(CEN 2022; 26:898)のサブ解析として、MLNの予後および治療内容を増殖型LN(PLN)と比較し、MLNにおける腎予後不良のリスク因子を検討した。【方法】2007〜2012年に腎生検を受け、日本腎臓病レジストリー(J-RBR)に登録されたLN患者489名のうち、MLN(Class V)90名とPLN(Class III/IV ±V)362名を対象とした。主要評価項目は血清クレアチニン(S-Cr)の50%上昇とし、Kaplan-Meier法を用いて解析し、Log-Rankテストで有意差を検定した。腎予後不良のリスク因子はCox比例ハザードモデルで解析した。【結果】観察期間の中央値はMLN 62.4ヶ月、PLN 63.6ヶ月であった。S-Cr 50%上昇はMLN 12.2%、PLN 16.3%(P=0.363)、末期腎不全(ESKD)はMLN 2.2%、PLN 3.0%(P=0.679)、患者死亡はMLN 7.9%、PLN 5.5%(P=0.407)と、両群間で有意差は認められなかった。MLNの患者はPLNに比べてグルココルチコイド(GC)の初期投与量が少なく(33.5±18.1 vs. 40.5±15.2 mg/dL、プレドニゾロン換算、P<0.001)、GC単独療法の頻度が高かった(30.3% vs. 18.8%、P=0.020)。また、シクロホスファミドおよびミコフェノール酸モフェチルの使用頻度も低かった。ベースラインのS-Crおよび蛋白尿の高値が、腎予後不良の独立したリスク因子として同定された。【結論】わが国において、MLNはPLNと比較して必ずしも予後良好とは言えず、LNの予後改善に向けた治療戦略の検討が求められる。