ヤマウチ アキラ
Akira Yamauchi
山内 明 所属 川崎医科大学 医学部 基礎医学 生化学 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 悪性中皮腫の治療奏効に関わるNK細胞の特徴的遺伝子発現動態および腫瘍細胞におけるNKp46リガンド発現 |
会議名 | 第31回日本免疫毒性学会学術年会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | ポスター掲示 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 西村泰光、山内明、亀崎彩紗、伊藤達男 |
発表年月日 | 2024/09/19 |
国名 | 日本 |
開催地 (都市, 国名) |
西宮 |
開催期間 | 2024/09/19~2024/09/20 |
概要 | 【目的】我々は、これまでに石綿曝露や悪性中皮腫に関連する特徴的な免疫機能動態を明らかにしてきた。NK細胞における活性化受容体NKp46の発現量低下は代表的な特徴である。一方で、最近、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(抗PD-1抗体薬)治療に部分奏効を示す悪性胸膜中皮腫患者に特徴的なNKp46発現量の増加と相反するPD-1(PDCD1)発現量の低下を確認した。そこで、培養実験によりNK細胞における遺伝子発現動態、および悪性中皮腫細胞におけるNKp46リガンドであるCSVとecto-CRTの発現変動を解析し、NK細胞機能と治療奏効の関連を調べた。
【方法】IL-2またはIL-15が0.04 - 20 ng/ml濃度の10%FBS含RPMI1640培地にてヒトNK細胞株NK-92細胞を3日間培養した。Cisplatin (Cis) またはOxaliplatin (Oxa) が20 または100 µM濃度の培地にてヒト悪性中皮腫細胞株NCI-H2051, MSTO-211Hを1または2日間培養した。遺伝子mRNA発現量をRT-qPCRにて測定し、Flow cytometryによりCSV+ecto-CRT+細胞%を解析した。 【結果および考察】NKp46, IFN-γ, Granzyme B mRNAレベルはIL-2濃度増加に伴い有意な増加を示し、対照的にPDCD-1 mRNAはIL-2濃度低下に伴い有意に増加した。PDCD1 mRNAレベルはNKp46, Granzyme B, IFN-γ mRNAと有意に負に相関し、NKp46, Granzyme B, IFN-γmRNAは相互に有意な正の相関性を示した。IL-15の濃度条件を変えた場合も同様の結果が確認された。Cis 100 µM濃度で培養1日後のNCI-H2052細胞では、CSV+ecto-CRT+細胞%が有意に増加した。2日後にはCis 20 µM, Oxa 100µM濃度でも有意な増加が見られた。MSTO-211H細胞においても同様の結果が得られた。以上の結果は、PDCD1発現量低下に相反するNKp46発現量の増加がNK細胞機能亢進を表すことを示す。加えて、中皮腫細胞においてCSVやecto-CRTが発現誘導されることが確認された。中皮腫患者におけるCSVやecto-CRTをリガンドとするNKp46を介したNK細胞活性化の機能不全、および治療におけるNKp46を介したNK細胞機能の重要性が示唆される。 |