ヒライ サトシ
Satoshi Hirai
平井 聡 所属 川崎医科大学 医学部 臨床医学 脳神経外科学1 職種 講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | オンマヤリザーバーから感染した四丘体槽くも膜嚢胞に対して第三脳室底開窓術と内視鏡下嚢胞開窓洗浄術を施行した1例 |
会議名 | 日本神経内視鏡学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | 平井 聡、田尾良文、井上 智、春田竜之介、丸野真人、枝木久典、南祐佳里、村井 智、八木謙次、菱川朋人 |
発表年月日 | 2024/11/08 |
開催地 (都市, 国名) |
東京、日本 |
概要 | 【はじめに】軟性鏡を使用した第三脳室内操作により、脳深部の病変に対して脳室経由で手術することが可能になっている。今回、当院における経験症例について報告する。
【症例】60代男性。約20年前に他施設にて四丘体槽くも膜嚢胞に対しoccipital transtentorial approachによる嚢胞開窓術とオンマヤリザーバー留置術が施行された。くも膜嚢胞の増大に対し年1回程度の頻度で定期的にオンマヤリザーバーから穿刺排液されていた。某日、見当識障害を主訴に当科に救急搬送され、四丘体槽くも膜嚢胞の拡大とそれに伴った中脳水道閉塞による急性水頭症を認めたため緊急入院となった。オンマヤリザーバーから穿刺排液したところ、排液は黄白色で強く混濁しておりくも膜嚢胞の感染が考えられ、培養からはstaphylococcus lugdunensis(皮膚常在菌)が検出された。治療として軟性鏡を用いて側脳室前角経由でまず第三脳室底開窓術を施行した。その後に松果体方向へ角度を変えて嚢胞開窓を行い、続けてオンマヤリザーバーを利用して嚢胞内を双方向的に十分洗浄したうえで、オンマヤリザーバーは最後に抜去した。術後は抗菌薬治療を継続して経過良好で自宅退院した。現在までくも膜嚢胞の明らかな再発を認めず経過している。 【考察】根治的には再開頭手術という選択肢もあったが、脳室経由で軟性鏡下に嚢胞開窓および洗浄を行い良好な転帰を得た。一か所の小開頭部位で第三脳室底開窓術と四丘体槽の嚢胞開窓を同時に施行したため、第三脳室後方の操作の際に視床間橋を損傷したが幸い大きな後遺症なく経過した。また、嚢胞表面は正常な脳室上衣に覆われており、嚢胞位置の同定に苦慮した。四丘体槽付近の開窓操作は、松果体や四丘体、Galen静脈還流群などの重要組織を損傷するリスクがある手技であり、十分な術前シミュレーションが重要と考えられた。今回、我々が手術において工夫した点や反省点について、若干の文献的考察を加えて報告する。 |