サイショウ シンスケ
Shinsuke Saisho
最相 晋輔 所属 川崎医科大学 医学部 臨床医学 呼吸器外科学 職種 講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 肺野末梢小型非小細胞肺癌に対する楔状切除は許容されるか?~肺癌根治手術としての楔状切除の可能性を探る~ |
会議名 | 第77回日本胸部外科学会定期学術集会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎最相晋輔, 杉山浩樹, 松谷隆志, 野島雄史, 清水克彦, 中田昌男 |
発表年月日 | 2024/11/03 |
開催地 (都市, 国名) |
石川県金沢市 |
開催期間 | 2024/11/01~2024/11/04 |
概要 | 背景:国内外で行われた第III相臨床試験において肺野末梢小型非小細胞肺癌(NSCLC)に対する縮小手術の有用性が示され,JCOG0802では肺実質・呼吸機能の温存が全生存(OS)の改善につながると考察されている.楔状切除は,CALGB 140503では縮小手術に含まれるが,本邦では画像的浸潤癌に対しては消極的縮小手術に限定され,根治手術としては評価されていない.
目的・対象:2005/1~2021/12に肺野末梢(外套1/3)小型NSCLC(cN0M0;病変全体径≤2cmかつCTR>0.5)に対して根治切除を行った265例(男性161例,女性104例,年齢中央値71.0歳)を対象として,臨床病理学的因子や治療成績等から,根治手術としての楔状切除の妥当性を後方視的に検討する. 結果:HRCT所見は充実型209例,部分充実型56例,組織型は腺癌196例,扁平上皮癌53例,その他16例,手術は解剖学的切除190例(肺葉切除138例,区域切除52例),楔状切除75例であった.楔状切除が行われた症例は,解剖学的切除と比較して高齢(73.9歳 vs. 68.8歳;p<0.001)で,PS1~2が多い(37例, 49.3% vs. 39例, 20.5%;p<0.001),喫煙者が多い(57例, 76.0% vs. 112例, 58.9%;p=0.011),非腺癌が多い(31例, 41.3% vs. 38例, 20.0%;p=0.001)など,ハイリスク症例に消極的縮小手術として選択された結果が反映されていた.術後観察期間中央値60.8か月で,術後再発に差はない(16例,21.3% vs. 37例,19.5%;p=0.735)が,楔状切除で局所再発が多く(3例,4.0% vs. 0例,0%;p=0.022),5年OSでは有意に予後不良であった(65.5% vs. 79.6%;p=0.020).胸膜直下(臓側胸膜から病変辺縁まで<10mm)の病変143例(解剖学的切除91例,楔状切除52例)では,両群ともに局所再発はなく.5年OSは解剖学的切除76.6%,楔状切除69.1%で有意差はなかった.年齢,性別,ECOG-PS,HRCT所見(病変全体径,充実型または部分充実型),組織型で傾向スコアマッチングした56例(各群28例)では,楔状切除は術後再発7例(25.0%),5年OS 75.6%で,解剖学的切除(術後再発6例(21.4%),5年OS 73.6%)と差はなかった. 考察:肺野末梢小型NSCLCにおいて,楔状切除では解剖学的切除と比較して局所再発が多く,予後不良であった.しかし,胸膜直下に存在して十分な切除断端が確保される場合には,楔状切除と解剖学的切除で局所制御・予後ともに差はなく,楔状切除が根治手術となり得る可能性が示唆された. |