ニシワキ アイ
Nishiwaki Ai
西脇 藍 所属 川崎医療福祉大学 医療福祉学部 医療福祉学科 職種 講師 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 家老の過労死と能-岡山藩の家臣層が「養生」としての能を行うまで- |
会議名 | 第31回医療福祉研究会報告会 |
学会区分 | 研究会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎西脇藍, 後藤大輔, 和田拓真 |
発表年月日 | 2020/08/05 |
開催地 (都市, 国名) |
岡山県倉敷市 |
概要 | 今回取り上げるのは綱政が藩主であった時期に岡山藩の家老を勤めていた池田主水と池田主殿である。両者は国元の岡山と江戸を行き来し、国元の業務や将軍家、禁裏などとの交渉に従事した。同じ家老職にあって池田主殿は、綱政が盛んに能を行うようになった元禄期頃から、綱政の催す能の会で能のシテを勤めているのが史料に散見される。しかしながら前者は56歳で急死、そして後者は47歳で死去しており、能が家老の「養生」に繋がったとするには疑問が残る。その原因として、家老の職務は能で養った健康では補いきれないほどの激務であったことが考えられる。しかし藩主の綱政は一年おきに欠かさず国元と江戸を往復し、藩内の行政、将軍や大名や朝廷との交際を日々寸暇なく勤めながら77歳まで存命であったことを考慮すると、さまざまな要因が重なった結果であろうとはいえ、やはり能が綱政の「養生」であり健康を支えていた一因であったことは否定できない。
以上の考察から、綱政の能を詳細に分析し、「養生」のための能にはどのような環境や条件が必要であったのかを解明することで、現代の予防医学や健康につながる教示を得られるのではないかとの可能性と方向性を得ることができた。それは今後、江戸時代の大名の能楽へ、古典的な芸術や美だけではない現代的な観点からの意義を与えることにも繋がると考えている。 |