サイショウ シンスケ   Shinsuke Saisho
  最相 晋輔
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 呼吸器外科学
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 切除不能局所進行非小細胞肺癌に対するConversion手術の可能性
会議名 第115回日本外科学会定期学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎最相晋輔, 前田愛, 湯川拓郎, 沖田理貴, 清水克彦, 中田昌男
発表年月日 2015/04/17
開催地
(都市, 国名)
愛知県名古屋市
概要 【背景】切除困難な局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する標準治療は化学放射線療法(CRT)であるが,治療が奏効して切除可能な状態になることはまれではない。このような状況における手術療法の意義として,①治療完遂後の腫瘍残存または再燃に対するsalvage手術,②治療方針を変更(conversion)して根治切除,が考えられる.近年,salvage手術の議論が高まりつつあるが,所謂conversion手術の議論は少ない(EORTC 08941など)。【目的】切除不能cIII NSCLCでCRTまたは化学療法が奏功し,その後に手術を施行した症例の治療成績をretrospectiveに検討する。【対象】2005年1月~2014年3月に,切除不能cIII NSCLCに対して治療奏効後に手術を施行した8例。診断時切除困難と判断した因子は,infiltrative cN2 5例(2例:multiple-station cN2),cT4 3例であった。初回治療はCRT 4例、化学療法4例で,治療効果は全例PR(RECIST)であった。手術へconversionした理由は,cN2ではdiscrete N2へ縮小3例(1例は放射線肺臓炎併発),y-cN0へdown-staging 2例,cT4は3例ともy-cT3へのdown-stagingであった。【結果】男性7例,女性1例,年齢54~72歳(中央値66.5歳)で,組織型は扁平上皮癌3例,腺癌3例,大細胞癌2例であった。手術術式は肺全摘1例,二肺葉切除1例,肺葉切除6例(肺動脈形成1例)で,R0切除7例・R1切除1例であった.術後合併症を3例に認めたが手術関連死亡はなかった。平均観察期間 24.4ヶ月(7~84ヵ月)で,8例中6例に再発(5例は術後1年以内の再発)を認めたが,1例は術後7年経過して無再発生存中である。【考察】切除不能局所進行例に対する手術は術後早期再発が多く,積極的に行うべき治療ではない。一方で術後長期無再発生存例も経験しており,極めて限られた症例においては治療選択肢の一つとしての可能性があり,手術を考慮するタイミングや安全性,予後など今後慎重な症例蓄積と検討が必要である。