サイショウ シンスケ   Shinsuke Saisho
  最相 晋輔
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 呼吸器外科学
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 全身化学療法後にsalvage手術を施行した局所進行非小細胞肺癌の1例
会議名 第89回中国四国外科学会総会
学会区分 地方会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎最相晋輔, 前田愛, 湯川拓郎, 沖田理貴, 清水克彦, 中田昌男
発表年月日 2014/09/05
開催地
(都市, 国名)
島根県松江市
概要 【背景】非小細胞肺癌の治療においてsalvage手術という概念は確立していない.今回,局所進行非小細胞肺癌に対する全身化学療法施行から1年4ヶ月後にsalvage手術を行った1例を経験したので報告する.
【症例】78歳,男性.右下葉肺癌(扁平上皮癌),cT2aN3M0 stage IIIBに対して.carboplatinおよびpaclitaxelによる全身化学療法を6コース施行後,PET/CTにおいて原発巣への集積は低下(SUVmax 15.6→2.6),肺門・縦隔・左鎖骨上転移リンパ節への集積は全て消失し,partial response相当の治療効果が得られた.その後,原発巣のみが再増大,PET/CTでの集積も増強(SUVmax 16.5)したため,carboplatinおよびTS1による2nd lineの全身化学療法を施行した.原発巣への集積は一時低下した(SUVmax 9.8)が,6コース終了後には再度増強していた(SUVmax 11.9).リンパ節への集積は消失したままであり,この時点においてy-cT2aN0M0 stage IBであり局所治療の適応と判断,リンパ節の組織学的評価の目的も併せて手術を選択した.手術は右肺底区切除を予定していたが,治療前にbulkyなリンパ節転移を認めていた肺門・縦隔組織が高度瘢痕化しており肺門部の剥離が困難であったため,右肺下葉切除(ND2a-1)を施行した。術後病理ではy-pT2aN0M0 stage IBで,初回治療前にPET/CTで異常集積を認めたリンパ節も含めて郭清したリンパ節は全て転移陰性であった.
【結論】非小細胞肺癌に対するsalvage手術の意義は明らかでなく,本症例においても今後の経過観察による予後の評価が必要である.EGFR-TKIを含めた化学療法の進歩・治療成績の向上に伴い,初回評価時に手術適応がないと判断された局所進行肺癌においても,治療経過中に局所制御が必要となる症例は増加することが予想される.現在においてはsalvage手術の適応は個々の症例で判断する必要があり,今後は手術成績や予後も含めた検証が求められる.