オノ シゲキ   Shigeki Ono
  小野 成紀
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 脳神経外科学2
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル もやもや病における出血・虚血合併発症例の臨床像の検討
会議名 第39回日本脳卒中の外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者菱川朋人, 徳永浩司, 西田あゆみ, 小野成紀, 杉生憲志, 伊達勲
発表年月日 2010/04/15
開催地
(都市, 国名)
盛岡
概要 【目的】もやもや病における出血・虚血合併発症は症例報告が散見されるのみであり、稀な病態
である。当科で経験した症例からその臨床的な特徴について報告する。【方法】過去20 年間に当
科に入院したもやもや病患者連続97 例を対象とした。虚血発症(Ischemia 群:I 群)は76 例、
出血発症(Hemorrhage 群:H 群)は7 例、合併発症(Ischemia-Hemorrhage 群:I-H 群)は9
例、その他5 例であった。I-H 群はTIA 型I-H 群(3 例)と梗塞型I-H 群(6 例)に細分した。
患者背景や画像所見を中心にその特徴を検討した。【結果】年齢は中央値でI 群:9.5 歳、H 群:
46 歳、I-H 群:30 歳であった。女性はI 群で64%、H 群で43%、I-H 群で89%を占めた。I-H 群
9 例での出血形態はIVH 4 例、ICH 4 例、SAH 1 例あった。梗塞型I-H 群では出血先行が5 例、
梗塞先行が1 例であった。出血と梗塞を合併するまでの期間は7 日から7 年であった。PCA 関
連領域の梗塞はI 群で29%、I-H 群で73%に存在し、脳血管造影におけるPCA の閉塞性変化は
I 群:33%、H 群:14%、TIA 型I-H 群:0%、梗塞型I-H 群:67%に認めた。治療はTIA 型I-H
群で2/3 例に、梗塞型I-H 群で3/6 例に血行再建術を施行。mRS 3 以下の予後不良例はTIA 型
I-H 群で0/3 例、梗塞型I-H 群で4/6 例であった。【結論】出血・虚血合併発症は若年女性に好発し、
出血先行後の梗塞が多かった。出血後急性期の梗塞合併例と慢性期合併例が存在した。梗塞部位
はPCA 関連領域に多く、PCA の閉塞性変化が直接的にPCA 領域の梗塞に連鎖しており、出血
後の虚血の主因と考えられる。出血・梗塞合併は予後不良であり、若年での出血発症は再出血の
みならず梗塞への進展を考慮に入れた対応が必要である。