オノ シゲキ
Shigeki Ono
小野 成紀 所属 川崎医科大学 医学部 臨床医学 脳神経外科学2 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | シャントfreeとなった5症例における髄液循環の考察 |
会議名 | 第5回日本水頭症脳脊髄液学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎小野成紀, 亀田雅博, 伊達勲 |
発表年月日 | 2012/11/11 |
開催地 (都市, 国名) |
東京 |
概要 | 水 頭 症 に 対 する 治 療 方 法 として 脳 室 腹 腔 シ ャント 術 は 長 年 治 療 の ファ ーストラインとして 確 立 さ れ た も の とな って い る . しかし,シャント治療の避けられない合併症として,slit ventricle syndrome やシャント閉塞,オーバードレナージ,シャ ント 感 染 , 成 長 に 伴 う シ ャント チ ュ ー ブ 延 長 の 必 要 性 な ど が 存 在 し , 多 くの 症 例 で 度 重 な る 手 術 が 必 要 と な る の も 事 実 で あ る . 最 近 我 々 は , 以 前 行 わ れ た 水 頭 症 に 対 す る シ ャント を 様 々 な 理 由 で 抜 去 せ ざ る を 得 な くな り , そ の 後 シ ャント free となった症例を 5 例経験し,これらにおいてシャント free となり得た要因を分析したので報告する.症例は 2007 年から現在まで約 5 年間の脳室腹腔シャント挿入症例で,くも膜下出血(SAH)後の NPH 症例 4 例,原因不明の約 20 年前のシャント症例が 1 例であった.SAH 後の NPH は全例食道癌を併発した患者で,食道癌根治術の際チューブ を損傷したり,術野に露出してしまう恐れがあるとの理由でシャントチューブは一旦抜去され,様子を見てドレナージや 脳 室 心 房 シ ャント な ど へ の 切 り 替 え を 考 慮 す る と い う 治 療 方 針 と な っ た . シ ャント 抜 去 後 脳 室 は 全 例 若 干 拡 大 し た が 症 状を来すこと無く経過した.20 年前に行われていたシャント症例は,シャント閉塞による急性水頭症を来し来院,ドレ ナージを挿入,その後の MRI 検査で中脳水道狭窄症が示唆され,第 3 脳室底開窓術(ETV)が施行され軽快した. SAH 後 NPH 症例では,シャント後髄液循環が詳細に調べられることは殆ど無く,またシャント挿入によりその循環動 態 は 複 雑 化 して い る た め シ ャント 抜 去 が あ えて 試 み ら れ る 症 例 は 少 な い . 今 回 経 験 か ら 症 例 に よって は 髄 液 循 環 を 検 討 することでシャント free となり得る症例がかなりの数あることが明らかとなった.また,ETV 施行可能以前の症例では MRI で flow study や thin slice による詳細な検討を行うことでより確実にシャント free となり得ることが示唆された. |