マスダ ヨシキ   Yoshiki Masuda
  益田 芳樹
   所属   川崎医療福祉大学  医療福祉学部 臨床心理学科
   職種   特任教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読なし
表題 宍道湖及びその周辺の淡水海綿について
掲載誌名 正式名:川崎医学会誌 一般教養篇
ISSNコード:03865398
巻・号・頁 16,67-82頁
著者・共著者 益田芳樹, 佐藤國康
発行年月 1990/12
概要 1989年夏以来、著者らは汽水湖である島根県宍道湖及びその周辺の淡水海綿の生息分布調査を行っている。今までに下に示す7属9種の淡水海綿の生息が確認された。そのうちシロカイメン(Spongilla alba)とヨコトネカイメン(Sanidastra yokotonensis)の2種については今まで記載が殆んどないので分類学的な指標となる骨片の形態を中心に記載する。
1.シロカイメン Spongilla alba Carter, 1849
2.ヨワカイメン Eunapius fragilis (Leidy, 1851)
3.アナンデルカイメン Radiospongilla cerebellata (Bowerbank, 1863)
4.フンカコウカイメン Radiospongilla crateriformis (Potts, 1882)
5.カワカイメン Ephydatia fluviatilis (Linnaeus, 1758)
6.ミュラーカイメンモドキ Ephydatia japonica (Hilgendorf, 1882)
7.カワムラカイメン Heteromeyenia stepanowii (Dybowsky, 1884)
8.ジーカイメン Trochospongilla phillottiana Annadale, 1907
9.ヨコトネカイメン Sanidastra yokotonensis Volkmer-Ribeiro et Watanabe, 1983
シロカイメンは今まで日本国内では汽水湖である茨城県涸沼にしかその生息を知られていなかった。したがって今回の記録が国内における2番目の記録となる。ヨコトネカイメンは茨城県横利根川から初めて採取され1983年新属新種として記載された種で、今回の記録が世界における2番目の記録となる。
シロカイメンは宍道湖の湖周の全調査地点に及んで、また宍道湖に流れ込む河川の河口及び中海と宍道湖を結ぶ大橋運河の中間点で確認された。宍道湖産のシロカイメンは涸沼産のものに比較し、骨格骨片は太くて短く、また殆んどのものが平滑で微小棘をもたない。更に少数の骨格骨片に認めた微小棘は涸沼産に比べその数は少ない。
他方、ヨコトネカイメンは宍道湖に流れ込む船川の河口近くで採取された。全ての骨格骨片が微小棘を有する横利根川産のヨコトネカイメンに比較し、船川産は殆んどのものが平滑であり、少数の有棘の骨格骨片にみられる微小棘の数も少ない。
このように、材料とした2種共に骨格骨片の形態に差異を認めた。しかし、これらの差異は種を区分するほどの差ではなく、生息環境の違いによるもので、同種内でも生息地によっては分類学的な指標となる骨格骨片に差を生じることがわかった。