ノムラ ツネヒサ   Tsunehisa Nomura
  野村 長久
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 乳腺甲状腺外科学
   職種   講師
論文種別 その他
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 Breast awareness に潜む闇について -なぜ広く普及しないのか
掲載誌名 正式名:日本乳癌検診学会誌
ISSNコード:09180729
掲載区分国内
巻・号・頁 31(1),1-6頁
著者・共著者 野村長久, 若崎淳子, 谷口敏代, 園尾 博司
担当区分 筆頭著者
発行年月 2022/03/31
概要 要旨:Breast awareness は「乳房を意識する生活習慣」についてのキーワードで,本学会も効率的か
つ効果的な乳癌対策と考え,乳がん検診と並ぶもう一つの乳癌対策の柱と考えている。しかし,その
認知度は国民に広く啓発できていない。その原因を解決するためにわれわれは成人女性を対象に,乳
がん検診受診に関する受診状況,自己検診,心理社会的状況,個人属性に関するアンケート調査を実
施。自己検診を breast awareness とみなし,検診受診歴,心の健康度・疲労度,心理ストレス反応,
セルフ・エフィカシー,個人属性との関連について解析した。「自己検診あり」は63.7%(1,151例/1,617
例)であったが,毎月行っている割合はわずか2.6%で,時々28.9%,気が向いた時64.0%であった。
Breast awareness と心理ストレス反応(SRS―18)との関連は,抑うつ・不安(P<0.001),不機嫌・怒
り(P<0.006),無気力(P<0.001),セルフ・エフィカシー(GSES)では,行動の積極性(P=0.04),
失敗に対する不安(P<0.001),心の健康度・疲労度(SUBI)では,心の健康度(P=0.024),疲労度(P
=0.028)に問題があれば悪影響となった。個人属性に関しては,年齢が高い(P<0.001),子どもあ
り(P<0.001),高年収(P=0.014),家族歴あり(P<0.001)がよい影響となった。
本研究から breast awareness の意識は低く啓発する意義は大きい。しかし,心理ストレスや心の健
康度・疲労度など内面の問題が悪影響(闇)となるため,肉体的,精神的,社会的な健康(ウェルネス)
が breast awareness の確立に重要と考えられた。