アタラシ ミホエ   Mihoe Atarashi
  新 美保恵
   所属   川崎医療福祉大学  保健看護学部 保健看護学科
   職種   特任教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 混合病棟におけるインシデントノートを使用したコミュニケーションエラー減少の取り組み
掲載誌名 正式名:川崎医学会誌
ISSNコード:03865924/2758089X
掲載区分国内
出版社 川崎医学会
巻・号・頁 45,35-41頁
著者・共著者 新 美保恵
発行年月 2019
概要 2011年4月より合計12科の混合病棟となったことで、看護業務が煩雑化し、医療事故・過誤の高リスクとなっていた。その改善の目的で、当該病棟の看護師22名が、コミュニケーションエラーの回避・減少を目的としたインシデントノート(【ノート】と表記)を2011年7月10日から2011年12月31日まで使用し、記入されたデータから意図の共通性を分類した。さらに【ノート】使用の前後で実施した意識調査の結果を合わせて内容分析を行った。【ノート】の内容は、3つのコアカテゴリー(『コア』と表記)、その下層に計9つのカテゴリー(《カテゴリー》と表記)に分類された。『意識付けによる安全行動への期待』では、《発生したインシデントの状況の記述》および《確認不足による間違い》から、具体的な事実を確認でき、病棟にある潜在的リスクが情報として表在化された。そして《厳守規則》として、情報発信、ルールづくり、遵守徹底が図られた。【ノート】の使用によって、それらの情報をタイムリーに、アサーティブな方法でエラーを指摘することができ、意識付け、チーム間で話し合うという安全風土の形成に有効であった。『潜在リスクの表在化』では、意識調査において、経験年数9年以下では10年以上のスタッフに比べ危険を察知する割合が低いという結果が得られた。《不慣れ・知識不足からのインシデント情報》から、知識・経験の豊富なスタッフやリスク感性の高いスタッフが情報を提供することが、相互サポートとして活用できたことが判明した。『医師からの知識情報』では、12科32名の医師の指示に対応する必要性があり、この項目もノートに記述されエラーの低減に有効であった。当該病棟では、混合病棟による環境に影響を受けた個人要因を一番高いリスク因子と捉えており、【ノート】の使用はリスク因子を表在化し、改善策に結びつけることができた。また、【ノート】をツールとした情報共有によるコミュニケーションが、患者安全を意識した風土作りに有効と考えられた。今後は必要に応じ【ノート】を使用することにより、更なる看護業務の改善を図りたい。(著者抄録)
文献番号 2020200373