ヤマガタ タカシ
Takashi Yamagata
山形 高司 所属 川崎医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 職種 講師 |
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論文種別 | その他 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
表題 | 競輪選手に対する低酸素トレーニング事例 |
掲載誌名 | 正式名:運動と栄養の処方科学 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 4,31-39頁 |
著者・共著者 | 脇本敏裕, 山形高司, 久米大祐, 長尾光城, 長尾憲樹 |
担当区分 | 2nd著者 |
発行年月 | 2010/10 |
概要 | 低酸素環境を用いたトレーニングがスポーツ選手の間で広く行なわれており,最近では短時間で競技が終了する種目の選手の間でも低酸素トレーニングが行なわれている。本研究では競輪選手に対して低酸素環境下での有酸素的トレーニングおよび無酸素的トレーニングを実施し,その効果を調査することを目的とした。
S級1班に属する競輪選手2名を対象として,標高2000m~2500mに相当する常圧低酸素環境下で有酸素的トレーニングおよび無酸素的トレーニングを実施した。事例1では5日間連続で,1回あたり40分間の有酸素的トレーニングを行わせ,その他のトレーニングは行わないように指示した。またトレーニングの前後で平地環境における運動負荷試験を実施した。事例2では,週3回程度の頻度で約3ヶ月間,1回あたり40分間の有酸素的トレーニングに加えて,疲労困憊に至る高強度のインターバルトレーニングをそれぞれ低酸素環境下で実施した。 その結果,事例1では,最大下運動負荷における血中乳酸値や換気量,酸素摂取量に低下が見られ,有酸素的な代謝能力の改善が示唆された。事例2における有酸素的トレーニングでは,酸素濃度を徐々に低下させた(16.4%から15.4% へ)トレーニング環境において,運動負荷が増加した(初期:188±4W,終盤:193±4W)ことから,物理的負荷が増加した一方で,心拍数や血中乳酸値は大きく増加しなかった。また,トレーニング開始から9日程度で血中乳酸値の低下が生じた。インターバルトレーニングでは,自転車駆動中の平均出力(トレーニング前:673W,トレーニング:737W),最高回転数(トレーニング前:145rpm,トレーニング:155rpm)ともに向上した。 以上より,競輪選手を対象とした低酸素トレーニングにより,最大下運動負荷中の生理応答や,無酸素的運動中の平均パワー,最高パワーの向上が観察された。また最大下運動負荷中の生理応答改善は5~9日間程度の短期間のトレーニングにより生じた。これらのことから,シーズンオフの無い競輪選手のトレーニング手段として,低酸素環境を利用したトレーニングが有効な手段となりうる可能性が示された。 |