オノ シゲキ   Shigeki Ono
  小野 成紀
   所属   川崎医科大学  医学部 臨床医学 脳神経外科学2
   職種   教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読なし
表題 学齢期に読み書き障害が顕在化したクモ膜嚢胞開放術後の一例 乳幼児期早期にシャント術を施行した児の長期フォローアップ経過から
掲載誌名 正式名:言語聴覚研究
略  称:言語聴覚研
ISSNコード:13495828
巻・号・頁 5(2),69-76頁
著者・共著者 新川 里佳, 川崎 聡大, 小野 成紀, 伊達勲, 福島 邦博
発行年月 2008/07
概要 Abstract:中頭蓋窩クモ膜嚢胞開放術施行後、学齢期にひらがな読み書き障害を呈した一例を経験した。対象児は現在通常学級1年に在籍する右利き男児である。術前後のSPECT所見では左頭頂葉下部から側頭葉にかけての局所脳血流量の低下を認め、同部位の機能不全が示唆された。対象児のひらがな読み書き困難は、神経心理学的評価から、視覚認知障害と音韻処理障害に起因することが明らかとなった。いっぽう、言語性意味理解や音声言語の長期記憶への影響は軽微であった。よってひらがな書字読字を可能とするために「聴覚法」と一部「キーワード法」を併用した介入を行い、ひらがな書字読字が可能となった。本症例をはじめ水頭症などで言語習得期に開頭術を伴った児の長期的予後の報告は少ない。特に本症例のように比較的発達良好とされた場合でも、局在性大脳機能障害に起因した認知障害をもち、言語モダリティーに影響を及ぼす場合があり、学齢期での神経心理学的評価の必要性が示唆された。(著者抄録)